男性のファッションや美容において、髭脱毛は一般的なケアのひとつとなっています。髭脱毛を行う際には、毛周期に関する知識が重要です。体毛には生え変わる周期があり、毛周期に合わせた施術を行うことで、より効果的な脱毛を実現できます。本記事では、髭の毛周期や、髭脱毛における効果的な施術間隔について解説します。
目次
髭脱毛の効果につながる「毛周期」とは?
毛周期とは、体毛が生え変わる周期のことです。体の毛は、一定の期間ごとに抜けては生えてを繰り返します。引っ張ってもいないのに髪の毛やまつげが抜けるのは、この毛周期によって古い毛が自然に抜け落ちるためです。こうして古い毛が抜けて、新しい毛が生えてくるのです。
毛周期は毛の生え変わりのサイクル
毛周期は主に、成長期→退行期→休止期の3つの段階を繰り返します。休止期を迎えた後は、しばらくしてからまた成長期に戻ります。それぞれの段階によって役割や期間が異なります。
成長期
毛周期における成長期は、毛が成長する期間です。そもそも毛は、毛穴にある毛乳頭と毛母細胞によって作られます。毛乳頭は毛穴の1番奥にあり、毛母細胞は毛乳頭の周りにたくさんあります。
毛が作られる際はまず、毛細血管によって運ばれてきた栄養分を毛乳頭が取り込み、周りにある毛母細胞に与えます。栄養をもらった毛母細胞は活発に細胞分裂を始め、毛を作っていきます。
毛母細胞が活発に細胞分裂を行うことで、毛が成長していきます。成長期が進行すると、毛はだんだんと太く長くなり、皮膚表面へと成長し出てきます。
毛を育てる毛母細胞は、毛を黒くする役割も担っています。色素細胞を生成するメラノサイトからメラニン色素を受け取ることで、毛は黒くなっていきます。
毛周期において成長期は、脱毛において最も重要な期間です。脱毛に使う光やレーザーは、成長期の毛にのみ反応します。そのため効果的な脱毛を実現するには、毛周期に合わせた施術が必要なのです。
退行期
毛周期における退行期は、成長期が終わり、毛が抜け始める準備をする期間です。毛を育てていた毛母細胞が細胞分裂を停止し、毛乳頭から離れていきます。そしてだんだんと皮膚内の毛根が押し上げられ、しばらくすると自然に毛が抜け落ちます。
退行期は、成長期の終わりと休止期の始まりの境界に位置しています。毛が抜けて退行期が終了すると最後に休止期に入り、毛根は新しい成長期のために再び準備を始めます。
休止期
毛周期における休止期は、新しい毛が生えるための準備期間です。休止期になると、毛根は毛穴から完全に抜け落ちます。そしてある程度の期間が経つと再び成長期に入り、細胞が活発化し始めて新たな毛を作り出します。
休止期は毛周期のサイクルの中でも最後の段階で、成長期や退行期に比べて比較的長い期間続きます。休止期に毛は作られませんがこれは自然な過程であり、健康な毛の育成を保つために重要な役割を果たしています。
身体の部位ごとに毛周期は変わる
毛周期は身体の部位によって異なります。毛の長さ・太さ・毛根の深さなどの毛周期に影響を与える要因が部位ごとに異なるため、毛周期も変化します。以下の表に、身体の主な部位ごとの毛周期の期間を示しました。
各部位ごとの毛周期
成長期 | 退行期~休止期 | |
髭 | 4ヵ月~1年 | 1ヵ月 |
頭髪 | 2年~6年 | 3ヵ月~4ヵ月 |
眉・まつ毛 | 1ヵ月 | 1ヵ月 |
腕 | 3ヵ月~4ヵ月 | 3ヵ月~4ヵ月 |
脇 | 3ヵ月~5ヵ月 | 3ヵ月~5ヵ月 |
脚 | 4ヵ月~5ヵ月 | 4ヵ月~5ヵ月 |
膝下 | 4ヵ月~5ヵ月 | 4ヵ月~5ヵ月 |
VIO | 1年~2年 | 1年~1年半 |
髭・毛髪・VIOなど濃い毛が多く生える部分は、退行期から休止期が短く成長期が長い傾向にあります。常に多くの毛が成長している状態なので、比較的脱毛効果が高いです。
眉やまつ毛・腕・脇・脚などは、成長期と退行期・休止期が同じくらいの期間です。退行期や休止期が長いため、毛が自然と抜けやすい傾向にあります。
以上のように、身体の部位によって毛周期は異なります。毛周期を考慮しながら、脱毛の施術を行うことで、より効果的な脱毛が可能になります。
髭脱毛には「成長期」の施術が効果的
髭脱毛は、毛周期における成長期に合わせて施術を行うことで最も効果が得られます。 そもそも脱毛の効果には、メラニン色素が大きく影響を与えます。成長期の毛には最も多くのメラニン色素が含まれるので、効果的な施術が行えるのです。
メラニン色素とは、皮膚・目・髪などの色を決定する色素の一種です。メラニン色素が多いほど黒に近い色になります。成長期の毛は退行期や休止期の毛に比べると、濃くて太いことからもわかるように、多くのメラニン色素が含まれています。
脱毛では、このメラニン色素を利用して施術を行います。脱毛で使う光やレーザーを照射すると、メラニン色素がエネルギーを吸収し熱が発生します。この熱エネルギーが毛根まで伝わり細胞を破壊することで、毛の発育・再生を止めて脱毛が行えます。
脱毛器の光やレーザーは、退行期や休止期の毛のメラニン色素にも反応することがあります。しかしこれらの毛は成長期の毛より色が薄く、メラニン色素が少ないです。そのため毛根を破壊する熱が十分に発生しない場合があり、脱毛効果が得られない可能性が高いです。
このように脱毛はメラニン色素の反応によって行うため、最も多くメラニン色素を含んでいる成長期の毛に対して施術を行うのが1番効果的です。確実な脱毛を行うためには、毛周期に合わせた適切な施術を行うことが重要となります。
髭の成長期の割合
髭の成長期の割合は、髭全体に対して50〜70%程度です。この数字は、他の部位に比べると高い割合となっています。「朝に髭を剃ったのに、夕方にはジョリジョリ生えてきてしまう」という経験がある方も多いです。このことからも、髭の成長スピードは速く成長期も長いことがわかります。
髭脱毛の施術間隔
髭脱毛の施術間隔は一般的に、1ヵ月~2カ月が基本です。髭の退行期から休止期は1ヵ月と短い反面、成長期は4ヵ月から1年と長いです。1ヵ月~2カ月おきに髭脱毛を行うことで、休んでいた毛根も順番に成長期に突入していき、すべての髭をしっかり脱毛できます。
また、脱毛は1度の施術で完全に毛根を破壊することは困難です。そして、髭の成長期は短くても4ヵ月あります。1ヵ月~2カ月おきに髭脱毛をすれば、1本の髭に最大4回施術を行える計算です。
髭は脱毛部位の中でもメラニン色素が多く、特に脱毛効果が高い箇所です。複数回施術を行えば、それだけ効果を実感できます。
医療機関とエステサロンで施術間隔が違う理由
医療機関とエステサロンで施術間隔が違う理由は、脱毛方法が異なるためです。一般的に医療機関のほうが、エステサロンよりも長い施術間隔を必要とします。
医療機関とエステサロンでは、それぞれ脱毛方法が異なります。医療機関はレーザー脱毛、エステサロンでは光脱毛を行います。レーザー脱毛のほうであれば出力が高いため、より効果的な脱毛が行えます。
しかし医療機関の脱毛機器は効果が高い分、肌への負担も大きいです。一方エステサロンの脱毛機器は出力が低く設定されており、肌への負担が小さいです。
このように、脱毛機関によって使用する脱毛機器やそれによる肌への負担が異なるため、施術間隔に違いが生じます。また、医療機関の脱毛機関のほうが肌への負担が大きいため、エステサロンよりも施術間隔が長めに設定されていることが多いです。
髭脱毛の施術回数はどのくらい?
髭脱毛の施術回数は、脱毛方法によって異なります。医療機関の医療レーザー脱毛とエステサロンのエステ脱毛とでは、医療機関の医療レーザー脱毛のほうが、施術回数が少なく済みます。以下では、医療レーザー脱毛とエステ脱毛の施術回数・施術間隔を比較しました。
髭脱毛の施術回数比較
医療レーザー脱毛 | エステ脱毛 | |
効果の実感始め | 3回~5回 | 8回~15回 |
完了期間 | 5回~15回 | 15回~20回 |
施術間隔 | 1ヵ月~2ヵ月 | 2週間~1ヵ月 |
エステ脱毛に比べると医療レーザー脱毛の方が、施術間隔は長いですが少ない回数で脱毛が完了します。ただし、髭の濃さや太さ・肌の状態などによって回数が増減することがあります。
医療レーザー脱毛
医療レーザー脱毛はエステ脱毛より施術間隔は長くなりますが、少ない施術回数で脱毛が完了します。具体的な回数としては、効果を実感するまでが3~5回、脱毛が完了するまでは5~15回です。また施術間隔は1ヶ月から2ヶ月となります。
医療レーザー脱毛は効果が高いため、1回目の施術後から髭が薄くなったと感じる方もいます。また複数回施術を受けることで永久脱毛ができます。脱毛方法を迷っている方には、医療レーザー脱毛がおすすめです。
エステ脱毛
エステ脱毛は医療レーザー脱毛より施術間隔は短いですが、その分施術回数が多くなります。具体的な回数としては、効果を実感するまでが8~15回、脱毛が完了するまでは15~20回です。また施術間隔は2週間から1ヶ月と比較的短いです。
エステ脱毛は、肌に優しいことや痛みが少ないというメリットがあります。しかし医療レーザー脱毛に比べて効果が薄く、確実な永久脱毛はできません。
髭脱毛を効果的に行うための毛周期の整え方
髭脱毛を効果的に行うためには、毛周期を整えることが大切です。毛周期のサイクルを正しく保つためには、ホルモンバランスを整えることと、毛抜きでの自己処理は避けることが大切です。以下でそれぞれ詳しく説明します。
ホルモンバランスを整える
ホルモンバランスを整えることは、髭脱毛を効果的に行うために重要です。髭の成長には、男性ホルモンであるテストステロンが大きく影響しています。
テストステロンが過剰に分泌されると、脱毛をしていても髭が成長してしまいます。反対に分泌が抑制されると、髭が脱毛器に反応しにくくなり脱毛の効果が十分に得られません。そのため脱毛を行う際は、男性ホルモンであるテストステロンの分泌を安定させる必要があります。
ホルモンバランスを整える具体的な方法としては、適度な運動をする・バランスの良い食生活を心がける・ストレスを減らすなどが挙げられます。また医師の処方によって、内服薬やサプリメントを服用することもおすすめです。
毛抜きでの自己処理は避ける
毛周期を整えるために気をつけるべきこととして、毛抜きでの自己処理は避けるのがベターです。毛抜きは電気シェーバーと違い、毛根から毛を抜き取ってしまいます。このように成長期の毛を無理やり抜くと、自然のサイクルに反することになり毛周期が乱れます。
そのため髭を毛抜きで抜くのは絶対にやめましょう。髭剃りを行うときは、普段から電気シェーバーを使うのがおすすめです。電気シェーバーなら皮膚に刃が当たらないので、肌を傷つけるリスクが少ないです。
髭脱毛では事前処理が必要となりますが、その際も電気シェーバーを使ってください。剃り残しがないように、かつ毛穴や肌を傷つけないように、丁寧に剃りましょう。
まとめ
本記事では、髭脱毛に大きく影響を与える毛周期について説明しました。毛周期とは毛が生え変わるサイクルのことで、成長期→退行期→休止期の3つの段階から成り立っています。
脱毛効果を高めるためには、成長期の髭にアプローチできるよう施術を行うことが重要です。髭の成長期は4ヵ月から1年と長いため、脱毛効果が高く出やすい部位といえます。効果的な施術間隔は、医療レーザー脱毛なら1ヵ月~2ヵ月、エステ脱毛なら2週間~1ヵ月がおすすめです。毛周期に合わせた施術を行うことで、より効果的な脱毛を実現できます。
髭脱毛の効果を高めるためには、毛周期を整えることも大切です。毛周期を整えるには、毛抜きで髭を抜いて自然な毛周期のサイクルを乱さないようにしたり、規則正しい生活をしてホルモンバランスを整えたりすることが効果的です。
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ライター紹介
看護師S
免許取得後、都内総合病院 外科病棟配属
現在までにメディエス銀座クリニックに看護師として勤務
美容皮膚科治療を中心にメンズ脱毛業務を担当
脱毛カウンセリング実績 7,000件以上
脱毛施術件数 15,000件以上
現場経験からお客様に有益な情報を発信したいという思いから脱毛コラムを発信
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